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アズミトガリネズミ

頭胴長47~65 mm、尾長46~52 mm、体重2~5 g。本州に生息する小型のトガリネズミ類。形態及び遺伝子情報から本種は北海道及びユーラシア北部に分布するチビトガリネズミに近縁と考えられている。同所的に分布するシントウトガリネズミとは上顎単尖歯の大きさ、脳頭蓋骨の形状、頤孔(イコウ)と臼歯との位置関係、頭骨最大長から識別できる。

1.種の解説
頭胴長47~65 mm、尾長46~52 mm、体重2~5 g。本州に生息する小型のトガリネズミ類。形態及び遺伝子情報から本種は北海道及びユーラシア北部に分布するチビトガリネズミに近縁と考えられている。同所的に分布するシントウトガリネズミとは上顎単尖歯の大きさ、脳頭蓋骨の形状、頤孔(イコウ)と臼歯との位置関係、頭骨最大長から識別できる。
2.分布
日本固有種で、本州に分布し、富山、石川、栃木、群馬、山梨、長野、岐阜、静岡県の高標高域に生息している。静岡県では南アルプス地域の池の沢小屋、茶臼岳手前、聖平小屋周辺、千枚小屋周辺、三伏小屋、本谷山、権衛門沢、熊ノ平小屋から確認されている。一方、伝付峠や山伏岳の調査では確認されていない。
3.生息環境
県内ではダケカンバやオオシラビソなどが生育する森林林床の苔が繁茂する環境で確認されている。礫間や小さな坑道近くで捕獲されていることから、これらを利用しているものと考えられるが、詳細は不明である。
4.生息状況
捕獲調査の結果から生息数はシントウトガリネズミより少ないと考えられるが、十分な調査が行われていないため不明である。
5.減少の主要因と脅威
森林伐採による生息環境の乾燥・撹乱、ニホンジカの摂食による下層植生の衰退・表土の不安定化、高山域へのイノシシ進出・採餌に伴う表土撹乱が、本種の減少の主要因として懸念される。
6.保護対策
南アルプスの稜線部周辺は国立公園特別保護地区や特別地域に指定され、土地の改変や森林伐採が規制されている。国立公園外の高標高域では、森林の保全が必要である。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク