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カワネズミ
1.種の解説
頭胴長94~144 mm、尾長87~113 ㎜、体重24~56 gの大型のトガリネズミ。油分を多く含む黒褐色の柔らかな毛で覆われ、水中では水をはじいて銀色に見える。また足の裏には剛毛が密生し水かき代わりとなり、水中を自由に泳ぐことが可能である。山間の渓流に住み、日中にも活動し、水中を泳ぎながら小魚、水生昆虫、ヒル、サワガニなどを捕食する。春と秋に2~4頭の子を産む。
2.分布
日本固有種で、本州、九州に分布する。低地から標高2,000 mまでの山間の渓流に生息する。県内では河津川、狩野川、興津川、安倍川、大井川、天竜川の各水系の上流部の渓流で生息が確認されている。2004年以降の調査でも大井川水系東河内・千石沢・木賊沢・西俣・東俣、興津川水系黒川などで記録されている。
3.生息環境
水の澄んだ山間の渓流に生息する。落葉広葉樹主体の渓畔林が分布する渓流での確認が多い。河川形態では、短い距離で瀬から淵へと滝のように流れ込む河道が連続する渓流(Aa型)で主に捕獲され、まれに平瀬が長い中流(Bb型)でも捕獲された。また、減少の主要因と考えられる砂防堰堤が存在していても、供用後長い時間が経過しているような場所では確認されている。
4.生息状況
主に県内主要河川の上流で確認されているものの、生息密度は高くない。瀬と淵が連続し、滝のような急勾配で、流路幅が1 m程度の枝沢で、かつ通年を通して流水があり、渓畔林が分布している淵での捕獲が多い。
5.減少の主要因と脅威
山間の渓流を生息地としているため、砂防堰堤や河川改修等の河川工事や河川の水質に影響を及ぼすような開発は本種の生息に影響を及ぼす。
6.保護対策
現状の河川形態を保全しつつ施工材料には自然素材や多孔質材料を使用し、渓畔林の再生を想定した施工に努める。改変する河川の事前調査と個々の保護対策が必要と思われる。
(静岡県版レッドデータブックより)
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