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コキクガシラコウモリ

頭胴長35~50 mm、尾長16~26 mm、前腕長36~44 mm、体重4.5~9 g。小型の種で、小さな鼻葉を持つ。体毛は淡い褐色である。主に洞窟で休眠し、小・中型のガやガガンボなどを餌としている。また、特徴的な周波数帯の超音波を出すことが知られている。メスは秋に交尾し、初夏に1仔を産む。

1.種の解説
頭胴長35~50 mm、尾長16~26 mm、前腕長36~44 mm、体重4.5~9 g。小型の種で、小さな鼻葉を持つ。体毛は淡い褐色である。主に洞窟で休眠し、小・中型のガやガガンボなどを餌としている。また、特徴的な周波数帯の超音波を出すことが知られている。メスは秋に交尾し、初夏に1仔を産む。
2.分布
日本固有種で、北海道、本州、四国、九州、三宅島、対馬、奄美大島などに分布する。県内では下田市、松崎町、伊豆市、沼津市、富士宮市、静岡市、川根本町、浜松市など11の市町で記録がある。海岸近くから南アルプスまでの比較的広い範囲に分布する。過去には御殿場市などでも記録がある。
3.生息環境
休眠場所としては比較的高温多湿で、年中洞内の微気象が一定している洞窟が主に利用される。県内では溶岩洞窟、石灰岩洞窟、石切場跡、廃坑、廃隧道などで確認されている。
4.生息状況
富士宮市の溶岩洞窟で夏季に2,000~3,000頭、伊東市や川根本町の廃隧道で夏季に500~2,000頭が確認されるなど、場所や時期によっては数多く見られることがある。出産哺育場所は伊豆市、富士宮市などで確認されている。2003年以前の調査で個体数が比較的多かった場所では、近年も同程度の数が見られる。
また、2004年以降、出産哺育場所や数の多い生息地を含む新たな生息地が見つかっている。
5.減少の主要因と脅威
近年特に減少傾向は認められていないが、生息地には隧道、観光洞窟、資材置場としての利用形跡がある石切場跡などの人の利用がある場所が含まれるため、利用が増加すると生息環境が悪化すると考えられる。また、危険防止対策に伴う廃隧道などの改修・封鎖や廃坑の埋没は、ねぐら消失などの脅威になる。
6.保護対策
観光洞になっている生息洞窟では一部が立入禁止になっている場合がある。他県では、洞窟出入口へのバットゲート(人は入れないがコウモリ類は通過できる柵)設置や、人工洞穴改修時のとまり場設置(ねぐら消失の代償措置)などの保護対策が行われており、本県でも同様の対策が必要である。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク