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カグヤコウモリ

前腕長36~42 mm、頭胴長41~55 mm、尾長37~46 mm、体重6~11 g。体毛は黒褐色または褐色。類似種のヒメホオヒゲコウモリと比較して、本種は下腿長が17 mm以上と長い。日中のねぐらは主に樹洞を利用し、夜間に飛翔する昆虫を採餌する。新潟県及び石川県などでは隧道を集団でねぐらとして利用している。再捕獲による生存記録は石川県で14年、長野県で17年が知られている。

1.種の解説
前腕長36~42 mm、頭胴長41~55 mm、尾長37~46 mm、体重6~11 g。体毛は黒褐色または褐色。類似種のヒメホオヒゲコウモリと比較して、本種は下腿長が17 mm以上と長い。日中のねぐらは主に樹洞を利用し、夜間に飛翔する昆虫を採餌する。新潟県及び石川県などでは隧道を集団でねぐらとして利用している。再捕獲による生存記録は石川県で14年、長野県で17年が知られている。
2.分布
国外では朝鮮半島及び中国とロシアの一部に分布し、国内では中部以北の本州、北海道に分布する。静岡県は主たる分布の南限に当たる。県内では1975年7月25日の富士山麓での捕獲記録があるが詳細は不明である。南アルプスでは1999年に静岡市葵区田代の大井川上流標高1,850 m付近の東俣で確認され、その後2012年東俣、2015年椹島で確認された。富士山では山梨県側でも確認されている。
3.生息環境
確実な生息環境は、大井川上流域の針葉樹、落葉樹の混交林である。
4.生息状況
県内では南アルプスのみで確認されており、局所的に生息している可能性が考えられるが、詳細は不明である。
5.減少の主要因と脅威
確認場所と確認数が少ないため減少の主要因は不明であるが、南アルプスは国内の南限に当たることから、元来、生息個体数が少ない種であるのかもしれない。しかし、局所的に分布している可能性があり、自然林の伐採や開発行為によるねぐらの減少が脅威になると推察される。
6.保護対策
本種における具体的な保護対策は知られていない。今後は県内の生息場所の把握のための調査などを行い、情報を収集する必要がある。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク