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クロホオヒゲコウモリ

前腕長30~35 mm、頭胴長37~45 mm、尾長31~40 mm、体重3~5 g。体毛は黒褐~灰黒褐色で背面に先端が銀色の刺毛をもち、類似種のヒメホオヒゲコウモリと比較して腿間膜の血管走行線は直線的。森林内で捕獲される場合が多いため,日中のねぐらは主に樹洞を利用していると考えられているが、愛媛県、熊本県及び滋賀県では隧道をねぐらとして利用している。

1.種の解説
前腕長30~35 mm、頭胴長37~45 mm、尾長31~40 mm、体重3~5 g。体毛は黒褐~灰黒褐色で背面に先端が銀色の刺毛をもち、類似種のヒメホオヒゲコウモリと比較して腿間膜の血管走行線は直線的。森林内で捕獲される場合が多いため,日中のねぐらは主に樹洞を利用していると考えられているが、愛媛県、熊本県及び滋賀県では隧道をねぐらとして利用している。
2.分布
日本固有種で、本州、四国、九州から知られるが、確認記録は少ない。県内では南アルプス(静岡市葵区、川根本町、浜松市天竜区水窪町)のみで確認されている。
3.生息環境
ホオヒゲコウモリ属中、南方系の種群に属する。夏緑広葉樹林帯下部に生息し、それ以上の高地に住むヒメホオヒゲコウモリと住み分けすると考えられている。県内では標高600 m程度での確認が多かったが、静岡市の標高約2,000 m及び1,500 mの常緑針葉樹林帯でも捕獲され、ヒメホオヒゲコウモリと同所的に生息している場所も存在する。
4.生息状況
南アルプスでは浜松市の森林内で当歳獣が捕獲されている。2014年11月には川根本町の標高600 m付近の隧道で1個体が確認された。局所的に確認され、個体数は少ないものの、山間地の河川沿いに広く分布している可能性が考えられる。
5.減少の主要因と脅威
確認場所と確認個体数が少なく、減少の主要因は不明であるが、主たる生息環境が低標高地の自然林が残る河川沿いや急斜面地であることから、自然林の伐採や開発行為によるねぐらの減少が脅威になると推察される。
6.保護対策
本種における具体的な保護対策は知られていない。今後は県内の生息場所把握のための調査などを行い、情報を収集する必要がある。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク