logo

コンテンツ詳細

コテングコウモリ

前腕長28~35 mm、頭胴長41~54 mm、尾長26~33 mm、体重4~8 g。体毛は背面が明茶色で腹面は白色。腿間膜の上面に長毛を密生する。鼻孔先端は管状で左右に広がる。日中のねぐらは樹皮の下、広葉の中、洞穴内、家屋内などを利用し、夜間に林内を飛翔する昆虫類を採餌する。冬季は洞穴内で見つかる場合が多い。再捕獲による生存記録は鹿児島県でオス4年、メス4年半が知られている。

1.種の解説
前腕長28~35 mm、頭胴長41~54 mm、尾長26~33 mm、体重4~8 g。体毛は背面が明茶色で腹面は白色。腿間膜の上面に長毛を密生する。鼻孔先端は管状で左右に広がる。日中のねぐらは樹皮の下、広葉の中、洞穴内、家屋内などを利用し、夜間に林内を飛翔する昆虫類を採餌する。冬季は洞穴内で見つかる場合が多い。再捕獲による生存記録は鹿児島県でオス4年、メス4年半が知られている。
2.分布
国外ではシベリア東部及び北東部などに、国内では北海道、本州、四国、九州、屋久島に分布する。県内では南アルプスや富士山で記録があり、伊豆地域では確認されていない。南アルプスでは活動期に標高450~2,450 mの範囲で確認され、出産哺育情報もえられている。
3.生息環境
南アルプス及び富士山では、活動期に常緑広葉樹林帯上部から常緑針葉樹林帯まで分布している。冬季は南アルプスにおいて標高450~700 m程度の隧道を越冬ねぐらとして利用している。
4.生息状況
南アルプス及び富士山では、常緑広葉樹林帯から上部の範囲に広く生息していると考えられるが、出産哺育が示唆された場所は2ヶ所のみである。伊豆地域では記録がないが、元々生息していないか絶滅したかは不明である。
5.減少の主要因と脅威
前回調査と比較して確認地点は増加しているが、森林の伐採や植生の単一化によるねぐら環境の減少及び開発行為による餌昆虫類の減少が脅威となる。
6.保護対策
本種の具体的な保護対策は知られていない。ただし、枝葉トラップを用いた調査でも確認されていることから、一時的な保護対策として有効になる可能性がある。今後は県内の生息場所の把握のための調査及び冬期確認場所の継続的調査などを行い、特に伊豆地域の情報を収集する必要がある。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク