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ヒメホオヒゲコウモリ

前腕長31~36 mm、頭胴長39~55 mm、尾長31~41 mm、体重4~8 g。体毛は黒褐~茶褐色で背面の先端は金属光沢を帯びる個体もいる。国内では4種または4亜種(エゾ、シナノ、オゼ、フジホオヒゲコウモリ)に分類する意見もある。類似種のクロホオヒゲコウモリと比較して腿間膜の血管走行線は「く」の字状。日中のねぐらは主に樹木の樹皮下や幹の割れ目を利用するが、隧道などの人工物も利用する。再捕獲による生存記録は5年が知られている。

1.種の解説
前腕長31~36 mm、頭胴長39~55 mm、尾長31~41 mm、体重4~8 g。体毛は黒褐~茶褐色で背面の先端は金属光沢を帯びる個体もいる。国内では4種または4亜種(エゾ、シナノ、オゼ、フジホオヒゲコウモリ)に分類する意見もある。類似種のクロホオヒゲコウモリと比較して腿間膜の血管走行線は「く」の字状。日中のねぐらは主に樹木の樹皮下や幹の割れ目を利用するが、隧道などの人工物も利用する。再捕獲による生存記録は5年が知られている。
2.分布
本州及び四国に分布する。静岡県は主たる生息分布の南限に当たる。県内では富士山(富士宮市、御殿場市、小山町)及び南アルプス(静岡市、浜松市、川根本町)で確認されている。伊豆地域での確認はない。
3.生息環境
標高500~600 m以上の常緑広葉樹林帯から標高約2,000 mの常緑針葉樹林帯で広く確認され、出産哺育は標高約700~2,200 mの範囲で確認された。主として広葉樹・針葉樹の混交林、特に天然林に依存して生息するようである。越冬期は標高約500 mの隧道を利用していた。
4.生息状況
今回の調査でも伊豆地域では確認されず、活動期の主な生息地は南アルプス及び富士山の森林地帯のみであった。一部はクロホオヒゲコウモリと同じ場所で確認された。さらに2007年7月10日に川根本町の隧道で標識されたオス個体が、同所において2014年11月8日に再捕獲され、約7年4カ月の生存記録がえられた。
5.減少の主要因と脅威
減少の主要因は不明であるが、比較的自然林が残る地域で確認されていることから、良好な森林の指標種になると考えられ、森林の伐採によるねぐらの消失が脅威になると推察される。
6.保護対策
本種における具体的な保護対策は知られていない。今後は県内の生息場所把握のための調査などを行い、特に伊豆地域の情報を収集する必要がある。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク