コンテンツ詳細
コノハズク
1.種の解説
全長約20 cm。日本産最小のフクロウ。頭部から背面が灰褐色をしている褐色型と赤さび色をした赤色型の2タイプがある。よく茂った暗い林の中ではよい保護色になる。雌雄同色。虹彩は黄色で、類似するオオコノハズクは赤橙色なので区別できる。夜行性であるが、繁殖期には昼間でも「ブッポッソー」と聞こえる声でさえずることがある。餌はコガネムシ、ガ、バッタなどの昆虫類を主食にする。夏鳥(対象:繁殖地)。
2.分布
国外ではパキスタン北部から東南アジア、中国からシベリア南東部にかけて繁殖する。国内では夏鳥として北海道から九州まで繁殖する。県内では標高1,000 m前後~2,000 m以下の山地に局所的に分布する。
3.生息環境
大径木の落葉広葉樹があり、餌とする昆虫類を多数生産する広い林で繁殖する。営巣は樹洞を利用する。
4.生息状況
1980年代までは天竜川、大井川、安倍川の上流及び愛鷹山などの広い落葉広葉樹林に生息していたが、今回の調査期間内には、大井川奥の畑薙第二ダム付近以北の3ヶ所でさえずりを聞いただけにとどまった。秋の渡りの時期に磐田市桶ヶ谷沼において標識調査で記録されたことがあり、平地を通過するものもある。
5.減少の主要因と脅威
過去に行われた植林などのためのブナ林の伐採の影響は大きいと思われる。伐採が行われていない標高1,000 mを超える広葉樹林、たとえば西部地域では、スーパー林道奥の門桁山の野鳥の森や麻布山、あるいは蕎麦粒山などでは大径木のブナやミズナラが1980年頃から多数枯れたり倒れた状況を見ている。少なくとも大径木の樹洞を利用している営巣環境の悪化は否めない。
6.保護対策
生息環境の植物の問題か、餌生物の昆虫の問題なのか、温暖化の影響なのか原因が判然とせず、残念ながら巣箱かけ以外に実施可能な対策があげられない状況である。
(静岡県版レッドデータブックより)
