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ライチョウ
全長約37 cm。体形はニワトリ型。春から秋にかけては雌雄で差はあるが、白・黒・茶の斑模様で、冬期は尾羽をのぞいてほぼ全身真っ白に換羽する。目の上に皮膚の赤い部分があり、オスは繁殖前になると大きく膨らみ、目立つ肉冠となる。繁殖期の産卵後の抱卵・育雛はすべてメスが担当し、オスは抱卵期まで見張り役の任に当たる。日中は猛禽類などの天敵の目を避けハイマツ群落を利用することが多いが、早朝や夕方、ガスや雨などの悪天候時には開けた場所に出て採食する。高山植物及び矮生常緑低木の芽・葉・花・漿果・種子や昆虫類を餌とする。留鳥(対象:繁殖地)。
1.種の解説全長約37 cm。体形はニワトリ型。春から秋にかけては雌雄で差はあるが、白・黒・茶の斑模様で、冬期は尾羽をのぞいてほぼ全身真っ白に換羽する。目の上に皮膚の赤い部分があり、オスは繁殖前になると大きく膨らみ、目立つ肉冠となる。繁殖期の産卵後の抱卵・育雛はすべてメスが担当し、オスは抱卵期まで見張り役の任に当たる。日中は猛禽類などの天敵の目を避けハイマツ群落を利用することが多いが、早朝や夕方、ガスや雨などの悪天候時には開けた場所に出て採食する。高山植物及び矮生常緑低木の芽・葉・花・漿果・種子や昆虫類を餌とする。留鳥(対象:繁殖地)。
2.分布
国外では種ライチョウが北半球の北極を取り巻く地域に広く分布する。国内に生息する亜種ライチョウL.m.japonicusは最終氷期に大陸から移り住んだものとされており、本州中部の頸城山塊・北アルプス・乗鞍山・御嶽山・南アルプスの高山にのみ生息する。県内では南アルプスに生息し、イザルガ岳が本種の繁殖分布の南限にあたる。なお、南アルプスは他地域とは異なる遺伝集団であることが確認されている。
3.生息環境
南アルプスでは標高2,600 m以上のハイマツ群落が繁殖場所であり、天敵から身を隠す場所として必要不可欠である。繁殖期はハイマツ群落とその周辺のガンコウランなどの矮生常緑低木群落が生息環境である。
4.生息状況
県内では南アルプスのハイマツが分布する主稜線沿いに生息する。南限のイザルガ岳では現在1ペアのみが生息するが、北へ行くほど生息個体数は多くなる傾向にあるという。積雪の多い地域では冬期に森林限界付近まで下るというが、県内の南限生息地における厳冬期の生息場所は明らかになっていない。
5.減少の主要因と脅威
猛禽類のイヌワシ、チョウゲンボウなどのほかに、近年高山帯に進出した哺乳類による捕食がある。シカによる高山植生の食害や温暖化による生息環境の縮小なども挙げられている。温暖化は、分布周縁の南端部に当たる本県のライチョウが最も早く影響を受ける可能性も考えられる。
6.保護対策
他県では、人工増殖(生息域外保全)のほかに、2015年から開始された生息域内保全の取組(死亡率が著しく高い孵化直後のヒナをメス親とともに1カ月間ケージで保護)があり、現在は有効性の検証と実験段階にある。本県では縄張り期におけるつがい数の経過観察が、まずは必要と考えられる。
(静岡県版レッドデータブックより)