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ヨタカ

全長約29 cm。全体に黒褐色で、灰褐色や橙褐色の斑紋が虫食い状に入る。雌雄同色。夜行性の地味な鳥だが、細長い翼と長めの尾をもつ横長の体形で、樹枝に平行に止まって眠り、生息環境に見事に溶け込む。飛翔は速く、昼間であれば翼の白斑がよく目立つ。繁殖期には「キョッキョッキョッ・・・」と連続して鳴き、「コワ、コワ、コワ」という声も発する。夜間、飛びながら昆虫を捕食する。夏鳥(対象:繁殖地)。

1.種の解説
全長約29 cm。全体に黒褐色で、灰褐色や橙褐色の斑紋が虫食い状に入る。雌雄同色。夜行性の地味な鳥だが、細長い翼と長めの尾をもつ横長の体形で、樹枝に平行に止まって眠り、生息環境に見事に溶け込む。飛翔は速く、昼間であれば翼の白斑がよく目立つ。繁殖期には「キョッキョッキョッ・・・」と連続して鳴き、「コワ、コワ、コワ」という声も発する。夜間、飛びながら昆虫を捕食する。夏鳥(対象:繁殖地)。
2.分布
国外では東アジアから東南アジア、南アジアにかけて分布し、東アジアで繁殖するものは南方へ渡って越冬する。国内では夏鳥として渡来し、九州以北の平地から山地の林に生息する。県内では中部や西部、富士山麓周辺に分布する。
3.生息環境
山間部の草原や伐開地、畑などが混在する林地に生息する。かつて1970年代には標高100 m程度の県立森林公園など、平野部周辺の丘陵地帯でも観察されたが、このような生息環境は諸々の造成により減少し、生息域は自ずと山間部へ追いやられている。
4.生息状況
県内では標高300 mから1,000 m程度の山間部での記録が多いが、生息域は縮小し、その数は総じて減少傾向にある。一方、比較的高い生息密度を保っているところもあり、西部地方の山間部では、夜明け前の3時半頃から50分程度、数羽のヨタカが鳴き交わす様子を観察した地点がある。もともと伊豆地域での記録は少なく夜行性種の生息の把握は容易ではないこともあり、今回繁殖期の記録はえられなかった。なお、渡りの時には市街地でも目にすることがある。
5.減少の主要因と脅威
住宅地・工場用地などの拡大が生息域を山間部へ追いやるとともに、山間部では高規格道路の整備や観光施設などの建設に伴う開発行為が生息を脅かす一因となっている。また、中山間地の過疎化や国内林業の不振に伴う森林の荒廃も、生息環境に影響を及ぼしている可能性がある。
6.保護対策
直接的な保護対策は特にないが、ヨタカの生息域である中山間地の道路整備や諸々の開発行為に関しては、トンネルを増やして動植物の生息域を保護したり過度な照明設備を控えるなど、自然環境や野生生物との共存に配慮した工法が求められる。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク