logo

コンテンツ詳細

クマタカ

1.種の解説 イヌワシと並ぶ大型の猛禽類で全長オス70~74 cm、メス77~83 cmである。翼開長オス140 cm、メス165 cm。成鳥は顔が黒く、後頭に冠状に逆立つ羽毛がある。頭部から背面は褐色で、下面は白っぽい。胸には縦斑、腹には横縞がある。尾には黒い横帯が4~5本ある。幼鳥は全体的に成鳥よりも淡色で、顔から胸は特に白く見える。森林性のタカであり、ノウサギ、ムササビやヤマドリのほか、小型の哺乳類や小鳥、ヘビ、カエルなど多様な生物を捕食する。留鳥(対象:生息地)。

1.種の解説
イヌワシと並ぶ大型の猛禽類で全長オス70~74 cm、メス77~83 cmである。翼開長オス140 cm、メス165 cm。成鳥は顔が黒く、後頭に冠状に逆立つ羽毛がある。頭部から背面は褐色で、下面は白っぽい。胸には縦斑、腹には横縞がある。尾には黒い横帯が4~5本ある。幼鳥は全体的に成鳥よりも淡色で、顔から胸は特に白く見える。森林性のタカであり、ノウサギ、ムササビやヤマドリのほか、小型の哺乳類や小鳥、ヘビ、カエルなど多様な生物を捕食する。留鳥(対象:生息地)。
2.分布
国外ではアジア南部から東部に分布する。国内では北海道、本州、四国、九州に生息し、各地で繁殖が確認されている。県内では標高300 m以上、高標高地に至る山地に広く分布し、周年生息する。富士山と箱根山麓では、地形的要因のためか、生息地は確認されていない。
3.生息環境
山地の森林が主な生息環境である。営巣地は樹齢の高い林で、営巣木は特に樹高のある大木を利用する。採餌行動は山間の伐採地などで観察されることが多いが、林内も利用する。森林地帯での狩りに適応しており、多様な環境を含む森林地帯が生息適地である。
4.生息状況
複数の地域での観察情報をあわせると、前回(2004年)以降、分布状況に大きな変化はないようだが、低標高地における新たな繁殖例がいくつか観察されている。繁殖成功率の低下が懸念される一方で、連続または隔年繁殖が観察される例もあるなど、地域による差が散見される。
5.減少の主要因と脅威
過去からの個体数データは少なく増減は不明であるが、生物相豊かな自然林の減少は、本種の生息環境の質を低下させ、生息への脅威になると考えられる。本県では伐採跡地や植林直後の幼齢林など開放された空間の他、間伐や枝打ちがされて林床に光が入り下層植生が発達した林も狩場として利用する。しかし、近年は植林地の手入れが少なく、それが生息環境を悪化させていることも報告されている。
6.保護対策
猛禽類の餌場環境創出を目的とした列状間伐が各地で実施され、他県では餌となるノウサギの増加が報告されている。針葉樹人工林の多い本県の場合、森林の多様性を高めるための低密度植栽、広葉樹林化などのあらゆる施策が、生態系の底辺を担う生物相を豊かにし、ひいては高次消費者の大型猛禽類の長期的な保護対策につながるものと考えられる。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク