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コサメビタキ

全長約13 cm。体重10~16 g。頭部からの上面は灰褐色。喉からの下面は汚白色で、胸と脇は淡灰褐色。胸から脇の暗色の斑紋が不明瞭であり、この点で類似するサメビタキやエゾビタキと区別できる。眼が大きく、白いアイリングは太い。眼先に広い白色部がある。黒い嘴は長めで、下嘴基部は橙黄色。とまり木から飛び立ち、羽虫を捕えてまた元の枝に戻るフライングキャッチを行う。夏鳥(対象:繁殖地)。

1.種の解説
全長約13 cm。体重10~16 g。頭部からの上面は灰褐色。喉からの下面は汚白色で、胸と脇は淡灰褐色。胸から脇の暗色の斑紋が不明瞭であり、この点で類似するサメビタキやエゾビタキと区別できる。眼が大きく、白いアイリングは太い。眼先に広い白色部がある。黒い嘴は長めで、下嘴基部は橙黄色。とまり木から飛び立ち、羽虫を捕えてまた元の枝に戻るフライングキャッチを行う。夏鳥(対象:繁殖地)。
2.分布
国外ではバイカル湖周辺からアムール・ウスリー、中国東北部、サハリンと、これらの地域から離れたインド・ヒマラヤで繁殖し、インドから中国南部・東南アジアで越冬する。国内では九州以北に夏鳥として渡来し繁殖する。県内では伊豆半島をのぞく全域で記録があるが多くない。確実な繁殖の記録は富士山麓、愛鷹山以外ではきわめて少ない。
3.生息環境
平地から標高1,600 mくらいまでの低山の落葉広葉樹林に生息する。密生した林よりも比較的樹高が高く、中層が開けた明るい林を好む。富士山麓では標高1,600 m以上に生息するサメビタキと標高の違いで棲み分けをしていると思われる。
4.生息状況
1997年以前には龍山村、佐久間町、静岡市井川、富士山周辺で繁殖期の記録があった。富士山麓では繁殖期に標高600 mから1,600 mの落葉広葉樹林で毎年観察されているが、徐々に減少傾向にある。一方、平地での繁殖記録は殆どない(2017年浜松市天竜区での繁殖記録あり、標高150 m)。
5.減少の主要因と脅威
平地での減少は、宅地開発など人間の行動圏の拡大により生息地である落葉広葉樹林が失われたことが原因と思われる。しかし、森林が残されていても個体数が減少している所がある。その原因は不明であるが、越冬地や渡り中継地の環境悪化の可能性もある。
6.保護対策
富士山麓では現在繁殖が確認されている1,600 m以下の落葉広葉樹林を保全する必要がある。また、平地での繁殖を把握するための調査を行うことも必要であろう。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク