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イカルチドリ
1.種の解説
全長約21 cm。雌雄ほぼ同色。額が白く、前頭は黒い。背面は灰褐色で下面は白い。コチドリに似るが大きく、目を囲むリングの色が不鮮明であること、飛翔時の翼上面に淡色帯が出ること、動きがゆったりしていることなどで区別できる。繁殖期は他のチドリ類より早く始まり、3~7月である。繁殖中に擬傷行動を行う。留鳥(対象:生息地)。
2.分布
国外では中国北東部、ウスリー地方、朝鮮半島などで繁殖する。国内では北海道、本州、四国、九州に分布し、本州北部以北のものは冬季南へ移動する。県内では全域の砂利河川に分布し、大河川では上流まで分布する。
3.生息環境
主に砂礫の河川敷や中州のある環境に生息・繁殖するが、稀に広い埋立地で繁殖することもある。繁殖期以外には湖沼畔や水田に生息することもあるが、干潟や海岸に出ることは稀である。
4.生息状況
主な営巣場所である河川の河川敷及び中州の砂礫地は、植生遷移により営巣適地が極端に狭められており、残された裸地はオフロード車の通行や野外活動の影響を受けている。植生遷移の影響のない低い砂礫地は少しまとまった雨が降ればすぐに冠水被害を受ける、といった具合に繁殖を取り巻く環境は阻害要因が多い。繁殖中はつがいごとに縄張りを構えて集団化しないが、繁殖期終了とともに7月のうちに小群をつくる傾向がある。太田川では数羽~10羽ほど、天竜川では数羽~20羽ほどになり、その後やや数を増やして越冬群になる。天竜川では静岡県レッドデータブック(2004)時には30羽を超える越冬群がいたが、現在は20羽を超えるものは稀である。一方、河口から10数kmまで前記2河川よりも砂利の裸地がはるかに広い安倍川や大井川では、繁殖後に大きな群れを見ていない(北川)。なお、繁殖期に大井川上流部の畑薙第一ダム~椹島まで3メッシュの生息を確認している。
5.減少の主要因と脅威
主な繁殖場所である河川の砂利の裸地では植生遷移が進み、天竜川や大井川では中州までヤナギの林になっているところも多くなっている。狭められた裸地はオフロード車の通行で卵やヒナが轢かれる被害に遭い、気象においてもゲリラ的な集中雨に見舞われることが多くなり、冠水被害による卵やヒナの流失という繁殖の阻害も増加している。
6.保護対策
特に有効な対策は挙げられないが、河川管理計画に減少の主要因を排除する対策を求めたい。
(静岡県版レッドデータブックより)