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オオタカ

中型の猛禽類で全長オス約50 cm、メス約56 cm。翼開長106~131 cm。成鳥は頭部から背面、尾の上面が青灰色で、下面は白っぽい。胸から腹にかけては白地に細かな横縞があり、尾には黒い横帯が3~4本ある。幼鳥は上面が褐色、下面は淡黄褐色で、胸から腹にかけて褐色の縦斑がある。森林性のタカであり、主に林内や林縁部で狩りをする。餌は主に小~中型の鳥類で、ハト類が多い。留鳥(対象:生息地)。

1.種の解説
中型の猛禽類で全長オス約50 cm、メス約56 cm。翼開長106~131 cm。成鳥は頭部から背面、尾の上面が青灰色で、下面は白っぽい。胸から腹にかけては白地に細かな横縞があり、尾には黒い横帯が3~4本ある。幼鳥は上面が褐色、下面は淡黄褐色で、胸から腹にかけて褐色の縦斑がある。森林性のタカであり、主に林内や林縁部で狩りをする。餌は主に小~中型の鳥類で、ハト類が多い。留鳥(対象:生息地)。
2.分布
国外ではユーラシア及び北アメリカ大陸の北部に、国内では北海道から九州に広く分布する。繁殖は近畿以北で確認されている。留鳥だが幼鳥は分散のため移動する。冬季には南下する個体もあると考えられる。県内では西部から伊豆にかけて広く分布する。
3.生息環境
平野部から低山の里山環境が生息適地だが、海岸林や山間地に生息するものもある。採餌環境としては林内や林縁部のほか、林縁に近い農地や、灌木が点在する河川敷などの開放的な環境も利用する。
営巣地では樹齢が高く林内に十分な飛翔空間がある林の大径木に架巣することが多いが、比較的密な林の林縁近くに架巣することもある。
4.生息状況
1998年に調査した営巣地46ヶ所のうち20ヶ所を2015年に再調査したが、それらすべてで繁殖が確認されなかった。繁殖数は、静岡空港調査では平成10~21年と平成21~25年の比較で約4割減、掛川市自然環境調査では平成17と26年の比較で約4割減と報告がある。最近約10年の傾向は、山間地の繁殖記録がほぼなくなり、里山及び市街地周辺が主な生息地である。
5.減少の主要因と脅威
生息条件として餌動物の生息密度と採餌環境があげられる。近年、道路建設、宅地開発、農地開発などによる直接的あるいは間接的影響で一部の生息地が消失している。種間関係では、クマタカが捕食者脅威に、ノスリは餌場と営巣地の競合相手になっている可能性がある。
6.保護対策
耕作地や植林の管理放棄に伴い、重要な林縁の採餌環境は悪化する。森林及び耕作地周辺に広く手を入れて管理する行為が、最も有効な保護対策になると考えられる。静岡空港では営巣林はある程度保全されたものの繁殖数は減少したことから、採餌環境の保全が課題であると言える。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク