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ヒガシヒダサンショウウオ

全長は14.2~19.1 cm。体は太くて胴が長く、尾は末端ほど扁平となる。メスはオスよりも体が大きい。紫褐色の背面に黄色斑点や斑点が連続した黄色斑紋をもつ。腹面に斑紋をもつことはほとんどないが、稀に黄色や青白色の小点をもつ。渓流中の岩の下に一対の卵嚢を産み付ける。卵嚢の外皮は強靭で青みがかった虹色を呈し、内部に黄白色で直径約5 mmの卵を含む。メスの1腹卵数は23~72。孵化直後の幼生はバランサーを持たず、十分に成長した幼生の多くで指先に黒い爪が発達する。

1.種の解説
全長は14.2~19.1 cm。体は太くて胴が長く、尾は末端ほど扁平となる。メスはオスよりも体が大きい。紫褐色の背面に黄色斑点や斑点が連続した黄色斑紋をもつ。腹面に斑紋をもつことはほとんどないが、稀に黄色や青白色の小点をもつ。渓流中の岩の下に一対の卵嚢を産み付ける。卵嚢の外皮は強靭で青みがかった虹色を呈し、内部に黄白色で直径約5 mmの卵を含む。メスの1腹卵数は23~72。孵化直後の幼生はバランサーを持たず、十分に成長した幼生の多くで指先に黒い爪が発達する。
2.分布
日本固有種で、関東・中部地方の山地に分布する。県内では富士川、安倍川、大井川、天竜川水系の源流部付近に分布する。標高約300~1,500 mで確認され、標高1,000 m前後で多くみられる。
3.生息環境
落葉広葉樹林、混交林、針葉樹林の谷や斜面に生息し、川幅が狭く水量の少ない渓流の源流部で2~3月にかけて繁殖する。産卵場所は水中の大きな岩の下で、幼生は渓流の流れのゆるやかな淵で生活する。幼生の大半は越冬し、翌年に変態して陸上で生活する。変態後は山の斜面に分散し、適当な湿度が保たれている倒木や岩の下に隠れて、夜間や雨の日に活動する。
4.生息状況
詳細な情報はほとんど知られていないが、生息環境の条件は明らかに悪化しつつあり、確認されている本種の個体数は比較的少ない。例えば、ハコネサンショウウオの幼生と同所的に生息している富士川水系では、本種の幼生は前者にくらべて個体数が少ない。
5.減少の主要因と脅威
大規模なダム建設による生息地の消失、林道や砂防ダム建設に伴う生息環境の改変や渓流への土砂流入、森林伐採による林床の乾燥化が挙げられる。その他に、生息地を分断する道路に現れる個体が車に轢かれたり、道路の側溝に落下して脱出できずに乾燥死する事が懸念される。
6.保護対策
奥大井県立自然公園特別地域内では指定動物として捕獲が規制されている。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク