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ハコネサンショウウオ
全長は13~19 cm。体は細長くて尾が長く、眼が突出する。体の地色は黒褐色や褐色。背面に褐色や黄褐色、橙色の帯状模様や斑点がある。腹面は色が淡くて血管や内臓が透ける。卵嚢は長卵形で2~18個のクリーム色の卵を包む。幼生は指先に黒い爪を有し変態までに2年以上の期間を要する。
1.種の解説
全長は13~19 cm。体は細長くて尾が長く、眼が突出する。体の地色は黒褐色や褐色。背面に褐色や黄褐色、橙色の帯状模様や斑点がある。腹面は色が淡くて血管や内臓が透ける。卵嚢は長卵形で2~18個のクリーム色の卵を包む。幼生は指先に黒い爪を有し変態までに2年以上の期間を要する。
2.分布
日本固有種で、東は茨城県北西部、北は新潟県中北部、南は和歌山県、西は山口県に囲まれた本州に分布する。県内では狩野川、富士川、安倍川、大井川、天竜川水系の標高約300~3,000 mの源流部付近で確認されているが、伊豆半島及び県東部では標高600 m付近、それ以外の地域では標高1,000 m前後で多くみられる。
3.生息環境
成体は皮膚呼吸に依存するため乾燥に弱く、冷涼な山地渓流や湿潤な森林内の倒木下、落葉下、苔下に潜む。主に地表徘徊性の小昆虫や土壌動物を捕食する。幼生は水中の岩下や落葉下に潜み、夜間水中を徘徊して水生昆虫などを捕食する。産卵場所は滝壺の奥や湧き水、伏流水の穴などで報告されているが、報告例が少ない。
4.生息状況
本種は伊豆半島の狩野川水系、東部の富士川水系、中部の大井川水系にかけて多く、西部の天竜川水系での確認はわずかである。確認された個体の多くは幼生で、成体の確認例は稀である。大井川や天竜川水系では大規模な工事が行われており、生息環境は悪化している。
5.減少の主要因と脅威
河川や地下の大規模工事に伴う水量の減少の他、森林伐採による林床の乾燥化、林道、ダム建設による環境改変、渓流への土砂や農薬などの流入による水質悪化が挙げられる。
6.保護対策
特別な保護対策はとられていない。
(静岡県版レッドデータブックより)
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク