logo

コンテンツ詳細

ナガレタゴガエル

体長はオスが4~5 cm、メスが5~6 cm前後。背面は褐色で、鼓膜後方で折れ曲がる背側線隆条をもち、下あごに黒色の細点をもつなどの点はタゴガエルと共通であるが、本種のほうが後肢の水かきがよく発達する点で区別できる。山地性のアカガエルで、この属としては珍しく渓流中で繁殖する。

1.種の解説
体長はオスが4~5 cm、メスが5~6 cm前後。背面は褐色で、鼓膜後方で折れ曲がる背側線隆条をもち、下あごに黒色の細点をもつなどの点はタゴガエルと共通であるが、本種のほうが後肢の水かきがよく発達する点で区別できる。山地性のアカガエルで、この属としては珍しく渓流中で繁殖する。
2.分布
日本固有種で、関東以西の本州の山地に分断分布する。静岡県では静岡市葵区、川根本町、浜松市天竜区水窪町、富士宮市に分布記録がある。
3.生息環境
主に山地の渓流に沿って生息する。繁殖場所は渓流の滝下や淵などで、水中の岩の下に産卵し、孵化後の幼生はこうした岩の下や河川中の落ち葉溜まりなどに留まる。変態して上陸した後は、渓流付近の林床で生活する。
4.生息状況
静岡市や川根本町では比較的個体数が安定していると思われるが、県の西部では個体群密度が低い。また、本種の生息には道路や砂防ダム建設などに伴う生息地破壊が脅威となるため、開発の進んだ地域では個体数が減少していると思われる。
5.減少の主要因と脅威
道路や砂防ダム、リゾート施設建設に伴う森林・河川環境の破壊が本種の生息を脅かす主要因である。
6.保護対策
本種の生息地で開発を行う際には、渓流環境とその周囲の森林環境に配慮することが望ましい。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク