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アズマヒキガエル

体長14 cmに達する大形種で背中に多くのいぼをもち、眼の後ろには大きな耳腺をもつ。鼓膜の長径は眼からの距離より大きいことで近縁種・亜種と区別される。背面はオスで黄褐色、メスで濃い褐色、腹面は薄い黄白色で、黒褐色の雲状斑紋をもつことが多い。海岸近くから高山まで広く分布。3~5月に、溝、池、湿原などの止水に長い紐状卵塊を産む。

1.種の解説
体長14 cmに達する大形種で背中に多くのいぼをもち、眼の後ろには大きな耳腺をもつ。鼓膜の長径は眼からの距離より大きいことで近縁種・亜種と区別される。背面はオスで黄褐色、メスで濃い褐色、腹面は薄い黄白色で、黒褐色の雲状斑紋をもつことが多い。海岸近くから高山まで広く分布。3~5月に、溝、池、湿原などの止水に長い紐状卵塊を産む。
2.分布
日本固有亜種で、北海道南部(函館:たぶん人為移入)、本州東北部(近畿及び山陰まで)に分布し、北海道西北部、佐渡島、伊豆大島、三宅島などには人為移入されている。県内では低地から高地まで広く分布しており、ほぼ全市町からの記録がある。
3.生息環境
繁殖期に止水域に出現するが、水田環境はほとんど利用しない。非繁殖期は、ほぼ完全に陸生であるが猛暑季には渓流近くにも出現する。山地では森林域に、低地では公園の草地などに生息するが、変態直後の餌となる微小な土壌昆虫、ダニなどの生息することが重要である。
4.生息状況
生息状況は、山地では安定していると推定されるが、低地での減少が著しい。最新の調査ではかつての確認市町村のほぼ半数で確認されておらず、県下全体としての生息状況は悪化していると思われる。
5.減少の主要因と脅威
低地では道路の建設、都市化による繁殖場所と生活場所の減少、それに伴う交通事故死などが生存の脅威となっている。山地でも道路の舗装化とU字溝の設置などによる生息地破壊と、これらに伴う水質汚濁などが生存を脅かしている。
6.保護対策
現在残されている繁殖場所の保全が生息の維持に必要で、そうした場所を含む地域の開発を避けることが重要である。やむを得ず環境改変を行うためには、十分に水量の保証された産卵場所の造成と、卵ないし幼生の移殖は可能である。しかし、その場合には遺伝的多様性の保全への配慮が必要である。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク