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ネバタゴガエル

2014年に記載されたタゴガエルの近縁種。外部形態や繁殖生態はタゴガエルと酷似し、外見で両種を識別するのは困難である。繁殖時のオスの広告音がタゴガエルのそれより高い優位周波数を示すこと、染色体数が2n=28とタゴガエル(2n=26)より多いことから独立種として分けられた。他県にある両者の分布境界では、両者の雑種と思われる2n=27の個体が見つかっている。

1.種の解説
2014年に記載されたタゴガエルの近縁種。外部形態や繁殖生態はタゴガエルと酷似し、外見で両種を識別するのは困難である。繁殖時のオスの広告音がタゴガエルのそれより高い優位周波数を示すこと、染色体数が2n=28とタゴガエル(2n=26)より多いことから独立種として分けられた。他県にある両者の分布境界では、両者の雑種と思われる2n=27の個体が見つかっている。
2.分布
日本固有種で、種の記載当初は東海地方の長野・愛知・静岡県境付近のごく限られた地域からのみ知られていたが、その後の調査で東海地方に広く見られることが分かってきている。県内でこれまでタゴガエルとされてきたものの大部分は、実際にはこのネバタゴガエルであり、伊豆半島周辺をのぞく県内全域の山地に広く分布しているものと考えられる。
3.生息環境
基本的にタゴガエルの生息環境と同じである。渓流の源流部や湧水地などの伏流水環境で産卵し、そこで幼生期を過ごす。変態した後は渓流付近の林床で生活する。
4.生息状況
近年記載された種であるため、詳しい生息状況についてはまだ不明である。県内の山地に広く分布し、全体として個体数は安定しているように見える。ただし、開発の進んだ地域などで局所的に個体数が減少している場所はあると思われる。
5.減少の主要因と脅威
道路や砂防ダム、リゾート施設建設に伴う森林・河川環境の破壊が本種の生息を脅かす主要因である。
6.保護対策
本種の生息地で開発を行う際には、渓流環境とその周囲の森林環境に配慮することが望ましい。
(静岡県版レッドデータブックより)


写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク