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ミヤマシロチョウ
開張およそ60 mm。翅の表は一様に白色で裏は翅脈に沿って黒色となる。後翅の基部は黄色となる。幼虫の食餌植物はヒロハヘビノボラズやメギ(メギ科)。幼虫で越冬。年1回、7月中旬から発生し、8月中旬まで見られる。成虫は灌木や高木の上を緩やかに飛翔し、クガイソウ、ミヤマイボタ、ヒヨドリバナの花に吸蜜に訪れる。
1.種の解説開張およそ60 mm。翅の表は一様に白色で裏は翅脈に沿って黒色となる。後翅の基部は黄色となる。幼虫の食餌植物はヒロハヘビノボラズやメギ(メギ科)。幼虫で越冬。年1回、7月中旬から発生し、8月中旬まで見られる。成虫は灌木や高木の上を緩やかに飛翔し、クガイソウ、ミヤマイボタ、ヒヨドリバナの花に吸蜜に訪れる。
2.分布
国外では朝鮮半島、中国南部、ロシア南東部に分布し、国内では本州中部山岳地域の標高およそ1,000~2,000 mに限って生息する高山蝶の一種である。県内では静岡市葵区の大井川源流部のみに生息している。
3.生息環境
生息地は亜高山帯の、主に渓流沿いの食樹のヒロハヘビノボラズなどの灌木を混じえる林縁で、ヒヨドリバナなどの吸蜜植物の多い斜面でよく見られる。
4.生息状況
静岡市の北部に限って生息し、1959年静岡市葵区梅ヶ島の記録の1件をのぞくとすべて大井川源流に限られる。1951年が確実な最初の記録で、西俣、東俣からは多くの記録があり、最下流の記録は畑薙第1ダムである。1990年代までは大井川源流各地に個体数も多かったが、近年は個体数が激減している。
5.減少の主要因と脅威
道路法面の崩壊や各種の工事などにより、林縁に生育する食草や成虫が吸蜜する花が減少したことが考えられる。また、植生遷移により森林化が進み、食草の生育に影響を及ぼしている。
6.保護対策
長野県では保護活動が行われている。本県でも何らかの対策が緊要である。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク