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コヒオドシ

開張およそ50 mm。表面は赤褐色の地に黒色の紋がある。裏面は前翅の一部が黄褐色となるが後翅など一様に枯葉状の黒褐色。斑紋はオスメス大差ない。幼虫の食餌植物は本県では記録がないが他県の例などではコバノイラクサなど。成虫で越冬。春休眠から覚めた個体が山を下りて産卵し、7月中旬頃から成虫が現れる。飛び方は敏速で高山の各種の花で吸蜜する。
1.種の解説
開張およそ50 mm。表面は赤褐色の地に黒色の紋がある。裏面は前翅の一部が黄褐色となるが後翅など一様に枯葉状の黒褐色。斑紋はオスメス大差ない。幼虫の食餌植物は本県では記録がないが他県の例などではコバノイラクサなど。成虫で越冬。春休眠から覚めた個体が山を下りて産卵し、7月中旬頃から成虫が現れる。飛び方は敏速で高山の各種の花で吸蜜する。
2.分布
国外ではサハリン、朝鮮半島のほかユーラシア大陸に広く、国内では北海道及び本州中部山岳地帯に分布し、本州では高山蝶の一種である。県内では南アルプスの農鳥岳、赤石岳、悪沢岳など3,000 m級の高山のほか、西俣、東俣などの渓谷、標高の低い椹島からも記録がある。
3.生息環境
成虫は高山の石礫の多い尾根やお花畑で見られるほか渓流沿いでも記録されている。食草となるイラクサ類は湿潤な場所を好むことから渓流沿いに生育しており、成虫の発生場所となる。羽化後高山帯へ移動したものが高山で観察される個体である。
4.生息状況
1950年代から1960年代に、大井川源流部の西俣、東俣の渓流部から記録があるほか、農鳥岳、赤石岳、上河内岳、悪沢岳などの高山帯から記録がある。1970年代には報告された記録はなく1980年代には荒川小屋、悪沢岳、1990年代には聖岳での目撃記録しかない。2000年以降の記録は報告されていない。
5.減少の主要因と脅威
県内において発生が確認されたことはないが、県外の例では食草の生育する渓流沿いが主な発生地となっている。シカによる食草の食害(54)が原因の一つと考えられる。
6.保護対策
特になし。
(静岡県版レッドデータブックより)
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク