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ギフチョウ
開張およそ55 mm。翅には黄と黒の条紋があり、後翅の後部に赤斑をもつ。年1回3月下旬~4月中旬に発生する。幼虫の食餌植物は東部ではランヨウアオイとカギガタアオイ、西部ではヒメカンアオイ。蛹で越冬。タチツボスミレなどのスミレ類の青色の花を好み、モミジイチゴやカタクリなどでも吸蜜する。
1.種の解説開張およそ55 mm。翅には黄と黒の条紋があり、後翅の後部に赤斑をもつ。年1回3月下旬~4月中旬に発生する。幼虫の食餌植物は東部ではランヨウアオイとカギガタアオイ、西部ではヒメカンアオイ。蛹で越冬。タチツボスミレなどのスミレ類の青色の花を好み、モミジイチゴやカタクリなどでも吸蜜する。
2.分布
日本の固有種であり、本州のみに分布する。県内の分布は東西2地域に分断され、東の分布地域は安倍川より東方で富士市、富士宮市まで、西の分布地域は磐田原台地を東限として愛知県境までの低山地である。
3.生息環境
春に林床まで光が届くような低山地の雑木林や、成虫の吸蜜植物(スミレなど)の多い明るい林縁、あるいは森林が伐採された明るい空間などが生息地となる。
4.生息状況
安倍川より東で富士川より西の静岡、清水、由比、蒲原の地域では地域による差はあるが1980年代初めまで生息していたがそれ以降記録がない。芝川、富士宮地域では2014年頃までは確認されたが現在は大変厳しい状況となっている。一方西の分布地域でも湖西市をはじめ多くの産地が失われたが、旧引佐町と旧天竜市境では安定して生息している。
5.減少の主要因と脅威
拡大造林による低山地の雑木林の減少と、林業の衰退のためスギ・ヒノキ林を伐採しなくなったことにより生息に適する環境が激減したためとみられる。
6.保護対策
富士宮市及び浜松市では条例により採集が規制されている。生息地の環境整備が必要。林、林床、林縁の除伐や草刈りなどにより食草のカンアオイ類、スミレなどの吸蜜植物の生育環境を整備すれば生息密度の増加や生息地の拡大が期待できる。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク