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クロシジミ

開張およそ35~40 mm。オスの翅表は暗紫色に光るが、メスは一様に暗褐色を呈する。オスは6月下旬から発生し、メスは8月末まで見られる。本種の生活史は特異で、1~2齢はアブラムシやキジラミの分泌液を食べ、3齢以降はクロオオアリに養われ、その巣の中で成長し幼虫で越冬する。
1.種の解説
開張およそ35~40 mm。オスの翅表は暗紫色に光るが、メスは一様に暗褐色を呈する。オスは6月下旬から発生し、メスは8月末まで見られる。本種の生活史は特異で、1~2齢はアブラムシやキジラミの分泌液を食べ、3齢以降はクロオオアリに養われ、その巣の中で成長し幼虫で越冬する。
2.分布
国外では朝鮮半島、中国東北部、ロシア南東部に、国内では本州、四国、九州に分布する。生息地は一般に局所的。県内からは伊豆、東部(富士山麓)、中部(静岡市)、西部などの低山地から広く記録があるが、いずれの地域でも局所的である。
3.生息環境
アブラムシやキジラミ、クロオオアリが生息する雑木林や周辺に草地を伴う人手が加わった遷移の途中の不安定な里山が生息地となる。
4.生息状況
2000年頃までは県内から広く記録があったが、最近は里山の環境が悪化したことなどにより、生息地は非常に少なくなった。しかし富士山麓ではまだ安定して生息している。
5.減少の主要因と脅威
開発や雑木林の手入れをしなくなったことにより里山の環境が悪化していることが要因の一つとみられる。また特にクロオオアリとの共生関係のため生息環境が微妙に制限されている。
6.保護対策
富士宮市では「特定希少野生動植物」に指定され(2011年3月)、許可のない採集は禁止となっている。そのほかでは特にこの種の保護のための対策はとられていない。雑木林の存続と管理を行えば個体数の増加も期待できる。
(静岡県版レッドデータブックより)
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク