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ツマジロウラジャノメ

開張およそ55 mm。翅の表裏とも黒褐色で裏面後翅に眼状紋が並ぶ。メスでは前翅の白帯が目立つ。幼虫の食餌植物はヒメノガリヤスなどのイネ科。幼虫で越冬。成虫は標高の低いところでは5月下旬~6月、7~8月、9~10月の3回、標高の高いところでは7月下旬~8月に1回発生し、好んで花に集まり、ニガナ、ヒメジョオンなどで吸蜜する。
1.種の解説
開張およそ55 mm。翅の表裏とも黒褐色で裏面後翅に眼状紋が並ぶ。メスでは前翅の白帯が目立つ。幼虫の食餌植物はヒメノガリヤスなどのイネ科。幼虫で越冬。成虫は標高の低いところでは5月下旬~6月、7~8月、9~10月の3回、標高の高いところでは7月下旬~8月に1回発生し、好んで花に集まり、ニガナ、ヒメジョオンなどで吸蜜する。
2.分布
国外では朝鮮半島、ロシア南東部、モンゴルなどに、国内では北海道、本州、四国に分布するがいずれの地域でも産地は限られる。隣接の愛知県からは記録がない。県内では伊豆半島には記録がなく、富士山本体ではわずかな記録があるのみである。東部では天子山脈の山麓、中部では安倍川、大井川流域、西部では北遠地方の標高200~1,600 mから記録がある。
3.生息環境
岩や石が露出した崩壊地や林道法面など特殊な環境に限って生息している。
4.生息状況
富士山では1960年代まで表口登山道2合目の市兵衛沢に数件の記録があるのみで他の場所からは見つかっていない。富士山ではその後記録がなく絶滅したとみられる。安倍川流域では大河内や梅ヶ島の標高400 m以上の県道などの道路法面でも発生し、1990年代には比較的個体数も多かったが、道路の拡幅や舗装、法面の補修で、岩などが露出した自然状態の部分がなくなり、本種の生息に大きく影響している。大井川の源流部では2000年以降個体数はかなり減少しているが、危機的とまではなっていない。
5.減少の主要因と脅威
道路の改良や法面の補修で岩などが露出した部分がなくなり、これに伴って本種も生息できなくなった産地が多い。
6.保護対策
道路法面の補修をする際、本種が生育できるような工法が検討されることが望まれる。
(静岡県版レッドデータブックより)
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク