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アカイシコバネヒナバッタ
体長オス11~14 mm、メス14~16 mm。高山性の小型のヒナバッタで、オスの前翅はやや短く、後翅は極端に縮小し飛ぶことはできない。メスの前翅は紡錘形で小さい。褐色型と緑色型がある。八ヶ岳の亜種 ヤツコバネヒナバッタCh. f. yatsuanus Yamasaki,1968 によく似るが、オスはさらに小型である。成虫は8月に出現し、10月末の積雪時までは見られる。
1.種の解説体長オス11~14 mm、メス14~16 mm。高山性の小型のヒナバッタで、オスの前翅はやや短く、後翅は極端に縮小し飛ぶことはできない。メスの前翅は紡錘形で小さい。褐色型と緑色型がある。八ヶ岳の亜種 ヤツコバネヒナバッタCh. f. yatsuanus Yamasaki,1968 によく似るが、オスはさらに小型である。成虫は8月に出現し、10月末の積雪時までは見られる。
2.分布
南アルプス高山帯に分布する南アルプス固有亜種である。県内では、農鳥岳、塩見岳から茶臼岳付近まで生息する。基準亜種はロシア、中国、モンゴルに分布する。国内には他に、亜種エゾコバネヒナバッタCh. f. strelkovi Bey-Bienko,1949が北海道東部、東北地方北部に分布し、亜種ヤマトコバネヒナバッタCh. f. yamato Yamasaki,1968が関東山地の浅間山、本白根山周辺、亜種ヤツコバネヒナバッタが八ヶ岳に分布し、他に未記載の亜種フジコバネヒナバッタCh. f. ssp.が富士山、キソコマコバネヒナバッタCh. f. ssp.が中央アルプスに分布している。
3.生息環境
標高2,300 m付近の亜高山帯上部から、聖岳、塩見岳、農鳥岳など標高3,000 mを超す山頂まで、ヒメノガリヤスなどのイネ科草本の生育するところに生息する。
4.生息状況
通常個体数は多くないが、聖平付近のようにイネ科草地が広く見られる場所では個体数は非常に多い。生息地は連続しているわけではなく、ハイマツ群落などにより分断されている。
5.減少の主要因と脅威
特に減少が著しいという事実はない。しかしながら、稜線付近によく見られるため、登山者による植物の踏みつけによる生息環境悪化及び登山者による直接的な踏みつぶしが心配される。
6.保護対策
生息地のほとんどは南アルプス国立公園の特別保護地区や第一種特別地域であるため、採集圧や開発行為のおそれはほとんどない。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク