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アカザ

全長約12 cmのアカザ科魚類。鱗を持たず、体側の側線は胸鰭上方にあるだけで不完全。体色は赤褐色のものが多いが、ときに暗褐色の個体もみられる。背鰭は前方につき、尾鰭の前に大きな脂鰭がある。尾鰭の後端は円い。背鰭と胸鰭の先端に毒腺のある棘をもつ。主に夜間に行動し、水生昆虫などを捕食して生活している。繁殖期は晩春から初夏で、浮石の下面などに寒天質にくるまれた卵塊を産み付け、オスが保護する。

1.種の解説
全長約12 cmのアカザ科魚類。鱗を持たず、体側の側線は胸鰭上方にあるだけで不完全。体色は赤褐色のものが多いが、ときに暗褐色の個体もみられる。背鰭は前方につき、尾鰭の前に大きな脂鰭がある。尾鰭の後端は円い。背鰭と胸鰭の先端に毒腺のある棘をもつ。主に夜間に行動し、水生昆虫などを捕食して生活している。繁殖期は晩春から初夏で、浮石の下面などに寒天質にくるまれた卵塊を産み付け、オスが保護する。
2.分布
日本固有種で、秋田県、宮城県以南の本州、四国、九州に分布する。県内では西部の都田川(浜名湖流入河川)から中部の瀬戸川水系まで自然分布する。なお、伊豆の河津川からも記録されているが、人為分布であることは明らかである。
3.生息環境
河川の中流域上部から上流域下部にかけての瀬で、巨石の浮石のあるところに生息する。ごく若い個体は川岸の岩のくぼみや倒木などの陰にも潜む。
4.生息状況
生息が確認されている水系の河川において、これまでも不在となった河川が増加していることが指摘されてきたが、今回記録されず、生息環境の変化からみて絶滅したと推測される河川が増加している。各生息地での生息数は調査時の捕獲状況からみてかなり減少していると判断される。
5.減少の主要因と脅威
河川改修(13)による河床・護岸のコンクリート化や流れの平坦化のほか、流域の林地、とくに植林地の荒廃(53)による土砂流入で礫間隙が失われたことが挙げられる。
6.保護対策
特別な保護対策はとられていない。
(静岡県版レッドデータブックより)

写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク