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ホソミオツネントンボ
体長オスメスともに33~42 mm程度。未成熟な時は全身が淡褐色で濃褐色の斑点をもつが、成熟するとオスは青色となり、メスも薄い青色になる個体が多い。オツネントンボとは体形や斑紋が異なるほか、前翅と後翅の縁紋が重ることで区別できる。成虫がほぼ1年を通じて出現しているが、繁殖期の3~5月と冬前の9~11月に見ることが多い。春季に池沼や水田に飛来し、雌雄が連結して抽水植物の茎に産卵する。幼虫期は短く、6~8月にかけて羽化した個体は、草原や林縁などに移動して生活し成虫で越冬する。
1.種の解説
体長オスメスともに33~42 mm程度。未成熟な時は全身が淡褐色で濃褐色の斑点をもつが、成熟するとオスは青色となり、メスも薄い青色になる個体が多い。
オツネントンボとは体形や斑紋が異なるほか、前翅と後翅の縁紋が重ることで区別できる。成虫がほぼ1年を通じて出現しているが、繁殖期の3~5月と越冬前の9~11月に見ることが多い。春季に池沼や水田に飛来し、雌雄が連結して抽水植物の茎に産卵する。幼虫期は短く、6~8月にかけて羽化した個体は、草原や林縁などに移動して生活し成虫で越冬する。
2.分布
国外では朝鮮半島、中国に分布している。国内では本州、四国、九州には広く分布するが、北海道や南西諸島では単発的な記録のみである。県内では東部、中部、西部いずれにおいても記録された地点は多いが、多数の個体が見られる池沼や湿原は少ない。
3.生息環境
平地から山地の抽水植物が繁茂した池沼、湿地、水田や緩い流れに生息する。こうした環境では繁殖期の春季に見られるが、夏季から秋季には、主として山地の林縁や草原などで見ることが多い。
4.生息状況
県内ではこれまでに生息が確認された地点はかなり多く74メッシュに及ぶが、この10年余の間に記録があったのは5メッシュだけであった。1990年から2004年の15年間に確認されたメッシュが38であったので、最近になって特に減少傾向が顕著になったことがわかる。多産地の1つであった富士宮市小田貫湿原ではまだ記録があるが、個体数は激減している。
5.減少の主要因と脅威
これまで全国的にも減少している種とは考えられてこなかったので、幼虫の生育地として水田に依存する割合が高い地域では、近年水田で使用されている農薬の影響が考えられる。一方で山地の緩い流れで生育する場合には、減少の理由を推測することが難しい。本種は成虫で越冬するため低温には耐えられるが、暑さに弱い場合には最近の高温傾向の気象条件の影響もありうる。
6.保護対策
もともと広範に分布・生息している種であり、特定の生息地を保全することでは対応できないが、現存する主要な生息地の環境を守る必要はある。水田に依存していて農薬の影響を受けやすい種であるため、その影響を排除できるように配慮する必要がある。
体長オスメスともに33~42 mm程度。未成熟な時は全身が淡褐色で濃褐色の斑点をもつが、成熟するとオスは青色となり、メスも薄い青色になる個体が多い。
オツネントンボとは体形や斑紋が異なるほか、前翅と後翅の縁紋が重ることで区別できる。成虫がほぼ1年を通じて出現しているが、繁殖期の3~5月と越冬前の9~11月に見ることが多い。春季に池沼や水田に飛来し、雌雄が連結して抽水植物の茎に産卵する。幼虫期は短く、6~8月にかけて羽化した個体は、草原や林縁などに移動して生活し成虫で越冬する。
2.分布
国外では朝鮮半島、中国に分布している。国内では本州、四国、九州には広く分布するが、北海道や南西諸島では単発的な記録のみである。県内では東部、中部、西部いずれにおいても記録された地点は多いが、多数の個体が見られる池沼や湿原は少ない。
3.生息環境
平地から山地の抽水植物が繁茂した池沼、湿地、水田や緩い流れに生息する。こうした環境では繁殖期の春季に見られるが、夏季から秋季には、主として山地の林縁や草原などで見ることが多い。
4.生息状況
県内ではこれまでに生息が確認された地点はかなり多く74メッシュに及ぶが、この10年余の間に記録があったのは5メッシュだけであった。1990年から2004年の15年間に確認されたメッシュが38であったので、最近になって特に減少傾向が顕著になったことがわかる。多産地の1つであった富士宮市小田貫湿原ではまだ記録があるが、個体数は激減している。
5.減少の主要因と脅威
これまで全国的にも減少している種とは考えられてこなかったので、幼虫の生育地として水田に依存する割合が高い地域では、近年水田で使用されている農薬の影響が考えられる。一方で山地の緩い流れで生育する場合には、減少の理由を推測することが難しい。本種は成虫で越冬するため低温には耐えられるが、暑さに弱い場合には最近の高温傾向の気象条件の影響もありうる。
6.保護対策
もともと広範に分布・生息している種であり、特定の生息地を保全することでは対応できないが、現存する主要な生息地の環境を守る必要はある。水田に依存していて農薬の影響を受けやすい種であるため、その影響を排除できるように配慮する必要がある。
(静岡県版レッドデータブックより)
写真提供:特定非営利活動法人静岡県自然史博物館ネットワーク